アーカイブ:迷走本棚
次へ
2008年07月27日 (日)
科学と宗教
今や超有名な著者による科学と神(や、疑似科学など非科学)との関係をまとめあげたものです。

リチャード・ドーキンス著 垂水雄二訳 早川書房刊
悪魔に仕える牧師〜なぜ科学は「神」を必要としないのか
2004年4月20日 初版印刷
2004年4月30日 初版発行
原題:
A DEVIL'S CHAPLAIN
虹の解体、利己的な遺伝子など超ベストセラーを飛ばすリチャード・ドーキンスの25年間にわたる発表された文章からテーマを抽出して集大成したものがこの本です。題名そのものはチャールズ・ダーウィンのことばに基づいています。
「悪魔に仕える牧師なら、ぎくしゃくし、無駄が多く、無様な、低劣でおそろしいばかりに冷酷な自然の所業について、どんな本を書いたことだろう」
(p.22より引用)
自然淘汰という試行錯誤は全然エレガントでもなんでもなく、ぎくしゃくして、無駄が多くて、無様な事になることが予測でき、無駄については疑問の余地がないとドーキンスは言及しています。まさに、そのとおりで、自然淘汰の結果得られた我々を含めた生物などは、システムとしてもぐちゃぐちゃで一貫性がありません。
また、科学の持つダブルスタンダードを極力廃し、一貫性を保とうという著者の姿勢が記されています。
特にこの副題に現れているように、科学とそれに携わる人間の倫理などについて厳しい見方と指摘をしています。「科学は宗教ではない」という姿勢です。
攻撃的な表現も多くあり、「疑似科学的な妄言」とか「奇術師〜職業的な錯覚利用者」、「「代替」ないし「補完」医療というハゲワシが旋回を始める」、「宗教こそ、歴史において最も扇動的に敵というレッテルをはりつけてる装置だといっても過言ではない」などなど。
宗教が科学に横槍を入れる「インテリジェント・デザイン」などは特に槍玉に挙げられています。
創造論的宇宙論など、けちょんけちょんです。
宗教と科学の相容れない部分に光を当てて浮き彫りにし、科学の正体、宗教の正体をさらけ出させて読者にどちらが正しいかの判断材料を示している、といった印象を受ける本でした。
投稿者 なんぎ : 12:02 記事へ | コメント (0)
2008年06月29日 (日)
Inside Leopard
またもやUNIX MagazineにMacOS関連記事です。うれしいです(笑)。

株式会社アスキー発行 季刊 UNIX magazine
2008年7月号(第23巻 第3号 通巻243号)
今回は総力特集である「かーネルから見る最新UNIX」にすでにMac OS Xが組まれている上でなおかつ、Inside Leopardと題した別の特集記事があり、そちらにLeopard(Mac OS X 10.5)の中についての詳しいトピックスを取り上げて解説しています。
Leopardになって何が変わったかは、前回の特集記事でありましたが64ビットサポートとUNIXの名称を使えるようになったことが一番大きい所でしょうか。特にUNIXと名乗る事ができるのはThe Open GroupのSingle UNIX Specification(SUS)のUNIX 03の仕様を満たした事によります。従ってSUSやPOSIXに準拠を前提とする分野においてMacOS X Leopardは適用できることになり、利用先の裾野が広がることが期待されます。
特集記事ではSpotlightの核となるfseventsに関連する仕組みや振る舞いについてのほか、Windowsのデバイスドライバが採用しているようなデジタル署名の仕組みとなるコードサイニング、ユーザのローカルアカウント管理にOpenStep由来であったNetInfoからdsLocalと呼ばれるディレクトリサービスへ移行した点、プロファイルに基づく強制アクセス制御であるsandbox、光学ドライブを持たない超軽量ノートであるMacBook Airに対応したとも言えるOptical Disc Sharingと、大変盛りだくさんな内容となっています。
この特集記事だけ読んでもお腹いっぱいになりそうなのですが、さらに総力特集でもMacOS X Leropardについてのカーネルレベルから見たOSについての解説記事がたっぷりあり、ある意味MacOS X漬けの状態です。
もちろん、他のOS(AIX, Solaris, HP-UX, FreeBSD, NetBSD, OpenBSD, Linux)の記事も大変興味深く、それぞれのボリュームもたっぷり。
今回はかなりお腹いっぱいです。UNIX専門誌とは言え、かなりカーネルレベルのコアな話しが続きますので、やや消化不良気味で、膨満感たっぷり。胃薬でも飲むか…(って、アルコールだったりするわけですが)。
投稿者 なんぎ : 12:02 記事へ | コメント (0)
2008年05月25日 (日)
お酒大全
みっちりと書いてあるかと思いましたが、軽く読める本です。

独立行政法人 酒類総合研究所編 ソフトバンク・クリエイティブ刊
うまい酒の科学
造り方から楽しみ方まで、酒好きならば読まずにはいられない
2007年12月24日 初版第1刷発行
ISBN978-4-7973-4198-0
酒類は「しゅるい」と読み、「さけるい」ではありません。
お酒について勉強したり調べたりしたことがある人ならきっと見た事がある名前、酒類総合研究所によるお酒の本です。
そらあ、専門が書くのだから…と、過度な期待を持ってはいけません。学習参考書というか案内書、いや、指南書と言ったお勉強のための本ではありません。
カラーページで構成。豊富な写真や図版を用いてお酒を紹介します。もちろん、造り方や蘊蓄になりそうな情報も掲載。
この本のほとんどを占める第2部の「お酒の基礎知識」が教科書的なのです。清酒、焼酎(泡盛も)に始まり、さまざまなお酒について解説がなされています。
新書ですのでそれほどのボリュームはありませんが、かなりの酒類をとりあげていて、まるでミニ百科事典と行った感じです。日本ではそれほどメジャーじゃないものもちゃんと取り上げていて、当然ですが原料だったり醸造法についての解説がちゃんとかかれています。2章がこの本のほとんどのボリュームと内容を占めています。
最終章にはお酒の楽しみ方というのがあり、酒を割って呑む時の分量等にも言及してあり、知らないお酒に挑戦する場合の予備知識としても役立ちそうです。
「科学」と冠してありますが、小難しい解説は無く、さらさらと読むことができ、図鑑といった方が近いかもしれません。酒好き、酒に興味がある方は一度目を通してみてはいかがでしょうか。
投稿者 なんぎ : 12:03 記事へ | コメント (2)
2008年05月18日 (日)
ぶっ飛んで宇宙
よくちょっとイカレてしまったような人をぶっ飛んだ奴だと言いますが、本当に飛んでます。


マイク・ミュレイン著 金子 浩訳 化学同人刊
ライディング・ロケット(上・下)
ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語る
2008年2月10日 第1刷
原題:
RIDING ROCKETS
The Outrageous Tales of Space Shuttle Astronaut
by Mike Mullane
けっこう分厚い上下本で、なかなか読むのに時間がかかりました。
それと元の文体がそのようなものなのか、訳者の意図したものなのかは分りませんが、文章に改行が少なくページがびっしりと文字で埋まっているのも時間がかかった原因です。たぶん原文に忠実に改行位置をそろえたのだろうと思いますが、かなり読みにくいのです。文章の1ブロックが大きく、間欠的に読んでいる場合にちょっと目をそらすとどこまで読んでいたか見つけるのに苦労をします。
本書はミッション運営側でなくミッション遂行する現場の側から見たスペースシャトルの実情が描かれています。しかも飛ばされる(笑)側からです。平たく言うと宇宙飛行士の書いた文章ということなのですが。
再帰還・再利用型のロケットであるスペースシャトルが運行開始する前、搭乗宇宙飛行士を募集したところから著者が引退するまでをつづっています。当然ですがチャレンジャーやコロンビアの悲惨な事故にも言及している箇所もありますが、一番の悲惨なことは、毎回打ち上げられるスペースシャトルに全くの成功の保証が無いため、打上に臨むたびに強烈なストレスと打上延期に伴う脱力感、それに飛ぶ側の準備の煩雑さなど、当事者でないとわからないような責め苦ともいえる事実が記されていることです。
上巻の途中で記されている話の中に打上が再々延期された挙句、やっと打上開始となって飛び立とうとしたときにスペースシャトルのメインエンジンがストールしてしまい打上開始中に中止したエピソードが紹介されています。このときは固体ロケットブースター(SRB)が点火される前で九死に一生を得ていますが、SRBが点火された後だともう、メインエンジンが2基停止した状態で打上シーケンスが進んでしまうと取り返しがつきません。エンジン不調で火災が発生するなどにいたると、まさに巨大ダイナマイトのそばで椅子にベルト固定されて逃げられない状況だったと漏らしています。
ロケットとは、巨大打上花火に人をくくりつけて宇宙まで持っていくだけなのですが、それをコントロールして確実にするために莫大な技術と費用が投入されているのです。そこにどこまで安全性を求めるか、確実性を求めるかという部分に最大のトレードオフが求められます。
実際、低コストで再利用でき、定期便的な運用をもくろんでいたスペースシャトルですが、宇宙へ上げるテスト飛行なしに初回から人を乗せて飛ばしたこと。また途中から2席だけあった乗員の脱出装置も取り外され、万一の時にはかならず道連れにされる大変危険な乗り物だったことなど、安全性の基本的な部分が置き去りにされたまま打ち上げ始められた点も指摘しています。実際に再利用型ではなく1回ごとの使いきりがたのほうが安く付くことからスペースシャトルも終了することが予定されているぐらいですので、そうとうなコストオーバーだったのでしょう。
あまりうれしくない話ですが、NASAの人事的な内部事情もいろいろとりあげられており、ゴシップ好きな人にはこちらのほうが楽しいかもしれません。
ボリュームもあり、やや読みにくい点もありますが、ちゃんと気構えしていれば一気に通読してしまえる本です。残念ながら私は時間がとれず継ぎ足し状態でした。
投稿者 なんぎ : 12:01 記事へ | コメント (0)
2008年05月10日 (土)
医学か芸術か
医学を志すことが無くとも、見たことのある人が多いと思います。

坂井建雄著 筑摩書房刊
謎の解剖学者ヴェサリウス
1999年10月12日 第1刷発行
ISBN4-480-04232-6
解剖学の世界ではかなり有名。実際に座学の段階で絵を見たことがある人がほとんどではないでしょうか。
取り上げられているヴェサリウスですが、実は謎の多い人でして、当時としては概念的な解剖図から、実際の人体を解剖した状態であるリアルな解剖図を掲載したファブリカによってセンセーションを巻き起こしています。
さて、本書の内容ですが、ヴェサリウスファンのヴェサリウスファンへの内容(笑)となっています。
ほとんどがヴェサリウス礼賛といったトーンで描かれており、「とにかく、凄いんだよ、ヴェサリウス!」といった内容です。
当時、外科は内科に対して非常に地位が低かったのと、実際の医療としての外科の発達と解剖学としての外科領域は全く別のことで、人体に詳しくて手術できる技能があったとしても、外科治療の内容として正しいかということとはかけ離れた話なので注意が必要です。
巻末で詳しく述べられていますが、外科手術ができるようになったものの決定的に現在と違う部分は無菌状態での手術という環境と、麻酔が無かったという事です。おなかを切り開くような大手術でも麻酔なしです。もちろん患者は痛みで絶叫し暴れまくりますので拘束します。ショックで亡くなる場合も少なからずありました。
その上手術器具は滅菌はおろか洗浄もしませんので人体の奥深くを切り開く行為を行った後は化膿ぐらいならともかく、最近がカラダに回って敗血症になるなってざらです。
解剖学の進歩だけが取り上げられることが多く思えますが、医療としての西洋医学は古代のまじないや民間療法などとほとんど変わらない状況でした。東洋では漢方が用いられていましたが、西洋医学の薬学も当時は大概でしたので、投薬で体調を悪くして死期を早めたりそのまま亡くなられることも多かったようです。
その点、少なくとも東洋医学、特に日本では処方される漢方で本当に内科的に治療につながる例が多かったことから、医療としては日本のほうが当時の世界ではましだったようです。
投稿者 なんぎ : 12:02 記事へ | コメント (0)
2008年04月27日 (日)
かもすぞ〜
世の中、菌が作用して出来上がる食品だらけです。

小泉武夫著 文藝春秋刊
発酵食品礼賛 文芸新書 076
平成11年11月20日 第1刷発行
ISBN4-16-660076-1
もやしもんの中に登場する樹慶蔵のモデルになった、もしくは参考にしたのではないかと(著者は否定しているようですが)思われるのが、この著者の小泉武夫氏です。もちろん農学博士。この書籍の内容自身も参考にしていると思われます。
菌が作用して発酵した食品で蘊蓄などが出て来るシーンでは、この書籍中の記述が参考にされていると私は見ています。
とにかく発酵食品礼賛のタイトル通り、発酵食品オンパレードです。
酒(麹カビ・酵母)や酢(酢酸菌)や納豆(納豆菌)、ヨーグルト(乳酸菌)、チーズ(乳酸菌やカビ類)、みそ・しょうゆ(麹カビ)はともかく、世界中の発酵食品を食べ歩いて調べています。もう、好き者以外の何者でもありません。
もやしもんの1巻でセンセーショナルに紹介されたキビヤックのほか、続く巻でゾクゾク登場する強烈な発酵食品達があまた掲載されています。
地獄の缶詰シュールストレミング。
著者は食べたときに気絶寸前になったというエイの発酵食品であるホンオ・フェ。
クモノスカビで作るインドネシアの納豆風発酵食品のテンペ。
ロシアのどぶろくクワス。多分パンクワスでしょう。
チーズを凝固させるキモシンを産生する菌ムコール・プルシスの話。
とまあ、ネタ本と思われても仕方が無い位いろいろな発酵食品を網羅しています。
もやしもん本編は酒に傾注しているようですが、まだまだネタに出てきそうな発酵食品も多数掲載されています。
あと、美味しんぼでよく登場する火腿ですが、中国の肉の発酵食品です。
美味しんぼでは「中国ハム」と称される事もあり、中華食材店の店頭で缶詰の火腿(ランチョンミートみたいな缶詰)と称して売られているものと混同しやすいのですが、ハムとは名ばかりのカチコチの肉の鰹節といったものです。缶詰で売っているスパムみたいなものとは完全に別もの。金華ハム(金華火腿)となると間違いありませんが、中国ハムといわれるとちょっと違います。実物はまだお目にかかった事はありません。
ほかにもまだまだ、菌の作り出す美味しい(強烈な)食べ物がまだまだあります。
根が食いしん坊なので、どれも食べてみたい誘惑に駆られますが、匂いに負けそうなものも多数。
やっぱり食べ物の本は、読むだけでは面白く無いですねぇ。食べなきゃダメです。本を読んでも美味しく無いですから。でも、キビヤックやシュールストレミング、ホンオフェなんか本当に食べることができるかどうかはまったくもって自身ありません(笑)。
投稿者 なんぎ : 12:04 記事へ | コメント (0)
2008年04月20日 (日)
楽園の泉
タイトルを見てピンと来た方、正解です(え、なにが?)。
亡くなられました、アーサー・C・クラーク。ご冥福を祈り合掌。

アーサー・C・クラーク著 山高 昭訳 早川書房刊
楽園の泉
2006年1月31日発行
原題:
THE FOUNTAINS OF PARADISE
Athur C. Clarke
ISBN4-15-011546-X
そう、居酒屋ガレージさんで紹介されていた「ふわふわの泉」の元ネタ本。
ふわふわの泉で作られるのは軌道カタパルトでしたが、こちらは軌道エレベーター。乗るだけで宇宙服不要のまま衛星軌道上に移動する点はどちらも同じ。本文中では触れられていませんが、実際は軌道エレベーターを作り始める際に衛星軌道上から紐をおろすのが一番難関。高度差があるので大気の電離度が異なり、上と下で電位差が生じることで高電圧が発生してしまい両端で非常に危険な状態が生じます。
さて、中身の方ですが、小説の舞台はスリカンダ。まるでアナグラムみたいですがクラークの終の住まいだったスリランカ(旧セイロン)がモデルでしょう。クラーク氏自身がスリランカの実際の場所との違いなどを解説してくれています。
淡々と軌道エレベータを作る話が続きます。途中、あっという間に出来上がってしまっていたりする点があり、少し違和感を感じますが、異星人文化とのコンタクトや宗教的政治的な話なども織り成して進んでいきます。
一先日、TRONの生みの親である坂村健氏がクラーク追悼の記事の中で語っていたことに「ほぅ!」と思ったことがひとつ。クラーク氏の小説にはバカが出てこない。
おぉ、確かにそうです。マッドサイエンティストや、不条理を押し通す映画の中でしか出てきそうも無いごり押し軍人などは一切登場しません。あくまでも粛々と、ある意味ロジカル(論理的)に振舞う登場人物ばかりなのです。冷たい印象を受ける方もいらっしゃるようですが、熱く燃え上がってバカな奴は見ていて結構辛いときがありますので、クラーク氏のようなスタイルは逆にあって当然と思えます。
翻訳される方もクラーク氏の文章を如何に活かして日本語に仕立て上げるかという苦労もあるでしょう。
静かに物語が進行し、結末を迎えます。
読み終えると、キューブリックの監督した2001年宇宙の旅を見た後のようななんとなく釈然としない感覚が残りますが、そういうものなのでしょうか。
投稿者 なんぎ : 12:04 記事へ | コメント (0)
2008年04月13日 (日)
Leopard Server
またもやMacOS X関連。しかもLeopard Serverです。

株式会社アスキー発行 季刊 UNIX magagine
2008年4月号(第23巻 第2号 通巻242号)
UNIXマガジンの編集部に強力なMacOSファンがいるのでしょうか。それとも、UNIXユーザーから見てMacOS XはやはりエキサイティングなOSなのかとも思ったりします。こちらはMacintoshユーザーなので楽しみなのですが。
今回はMacOS X 10.5 LeopardのサーバーバージョンであるLeopard Serverの特集記事が組まれています。
執筆は前回の記事と同じ白山貴之氏。限られたページ数で相変わらずみっちりとした内容です。
OS Xは通常のパーソナル版とサーバーバージョンであるOS X Serverの2種類がリリースされています。通常のMacOS XでもApache、BIND, SMB, AFP などのサーバーサービスに加えてipfwベースのファイアウォール機能などがあり、オフィス内の小規模サーバーならそのままでサービスのチェックボックスをポチッとするだけで利用できます。
どこが違うのでしょうか。以前、Appleの方に伺った所、メモリの割当などでより大容量メモリを搭載した環境でサービスのために多くのユーザーに対する同時アクセスを考慮してチューニングしてあるという事を聞きました。
基本的には同じなのですが、サーバーム向けにチューニングしてあるMacOSと行った所でしょうか。
あとは特集記事にあるようなサーバー管理ツールがあり、リモートでもGUIベースでカンタンにサーバーの管理が行える点です。これはシステム管理社の初心者には大変ありがたい機能だと思います。実際は設定ファイルをviなどのテキストエディタでゴシゴシすると変更できるのですが、それ以前に何がどこにあるかという管理の一番の基本を調べなくても済む点は大変意義があります。
だいたい設定ファイルなぞはリリースが変わったりする旅に場所が変わったり記述方法が変わったりするので、まず、それに悩まされなくても済みます。
細かい目的には対応しきれないにしてもお手軽にパパッと設定してサービス開始したい手抜きセットアップをしたい管理者にも朗報です。
社内にはMacintoshは私しか無く(涙)、他のWindowsマシンとのファイルのやり取りなどSMBの実装バージョンがまばらな状態で日本語ファイル名を付けるWindowsユーザーなどに悩まされたあげく仕方なしにMacOS X Server(Tiger)を立ち上げました。
管理ツールさえインストールしていればサーバー上の操作と同じ環境でリモートのサーバーを管理できるので大変便利です。なかなかAppleTalkをWindowsマシンにしゃべってもらうのは苦労があるので、Macintosh側でSMBのサービスとAFPのサービスを両方行った方が遥かに面倒がありません。
ユーザー管理やマウントポイント、パーミッションの設定などはGUIツールでちょこちょこする方がやはり楽です。
他にもサーバーバージョンではOpenDirectoryサービスがあったり、Postfixベースのメールサーバー、NetBootおよびNetInstallサーバー、Wikiサービス、Podcastサーバーなどの他に、10.5の新機能であるTime machineのサーバーとしてバックアップデータを一見管理する事ができるサービスも提供されます。
カンタンにそれなりのサーバーを構築する事が素早くでき、管理も楽な点を考えるとWindows Serverはとても使えたものではありません。Wndowsな世界だけの人たちには必須なのでしょうけれども。
投稿者 なんぎ : 12:01 記事へ | コメント (0)
2008年03月30日 (日)
デジタル計算機
ちょっと内容が偏っていますが、仕方が無いでしょう。

ペキー・キドウェル+ポール・セルージ著 渡邉了介訳 ジャストシステム刊
目で見るデジタル計算の道具史~そろばんからパソコンまで
原題
LANDMARKS IN DIGITAL COMPUTING
by Peggy A. Kidwell & Paul E. Ceruzzi
ISBN4-88309-096-5
とにかくデジタルです。中途半端なことは許しません(笑)。
というわけで、計算の道具として歴史上に現れた中でも計算尺やアナログ計算機はこの本の中には登場しません。また、一部デジタル制御という範疇も含まれています。
キープやネーピアの棒などの古代から利用されていた計算補助具から始まり、ジャガードの織機、ホレリスの統計システム、エニグマ暗号機、ENIAC、UNIVAC I、IBM System/360などのお約束の機械、続くミニコンのPDP-8やVAX-11のほか、ICBMのミニットマンに搭載された誘導制御コンピュータ、小型化で計算機というものを大衆化した電卓(HP-35やHP-41Cなども)、そしてパーソナルコンピュータ、Macintoshの原型となったAltoやスーパーコンピュータとしてはあまりにも有名なCRAY-1、今日のUNIXベースの分散環境のさきがけとなったSUNなどのワークステーションと時代を追い広い範囲で計算をする道具としての機械を丁寧に紹介しています。
ただし、コンピュータの元祖は何かという点では執筆当時ではまだもめていたアタナソフ・ベリーのコンピュータであるABCマシンはまったく触れられていません。執筆当時の1994年に裁判の係争の結果、最初のコンピュータの座はENIACではなく、ABCマシンになった事にはまったく触れられていません。実際、プログラム内蔵方式のコンピュータとなるとEDVACが最初でしょう。
基本的にスミソニアン博物館を運営する母体であるスミソニアン協会が多大なバックアップをしていることから彼らの視点を主として描かれている点は考慮しておく必要があります。
特に後半のメインフレームの集中処理からワークステーションやパーソナルコンピュータの分散処理という変遷は執筆された時期が時期だけに、時代の流れの中に入っていません。
またマイクロコンピュータで大きな役割を果たした嶋正利がかかわったインテルの4004や8080、Z80などの初期のマイクロプロセッサラインアップについては嶋氏のかかわりを完全に無視しているかのごとく記述がありません。うがった見方をすれば日本人の功績を無視しているとも取れます。国立科学博物館に行くと部分ですが展示されているFUJICについてはまったく記述が無く、年表にも現れません。あくまでもスミソニアンの史料に基づく原則があったのでしょう。
歴史として語られるのは1985年までです。執筆されて原書の発行が1994年という点を考慮すると1990年ごろまでの激動の歴史がはずされてしまっているため、後半は尻切れトンボ的な感想が否めません。
史料としてみるか、資料としてみるか、読み物としてみるか。
無責任ですが本書を読んだ人に判断はお任せしましょう。
投稿者 なんぎ : 12:01 記事へ | コメント (2)
2008年03月23日 (日)
もやしもん
コミックのもやしもんが面白いそうですが、天の邪鬼の私はこちら(笑)。

ニコラス・マネー著 小川 真訳 築地書館刊
ふしぎな生きもの カビ・キノコ 菌学入門
原題
Mr. Bloomfield's Orchard:
The Mysterious World of Mushrooms, Molds, and Mycologists
Oxford University Press, Inc.
ISBN978-4-8067-1357-9
とにかく菌類(キノコ、カビ、酵母など)の楽しい本(?)です。
訳者の小川氏は松茸の生態や栽培法の研究などで知られる筋金入りのキノコ好きな方です。そのせいもあり、原書には無いキノコの挿絵やカビ・キノコの分類対系図などが加えられています。
ヒトはおろか、動物や植物が出現する以前から地球上に繁茂していた菌類。その生態や特徴など人類や他の生物とのかかわりを交えながら豊富な実例ととともに解説・紹介がなされています。
菌類と言えば白鮮菌などの真菌類。いやぁな水虫などの菌類が引き起こす皮膚疾患もこいつらのしわざなのです。水虫、陰金、田虫(うわぁ漢字で書くとなんかこわい)の類は真菌類の仕業です。
カビ、キノコもじつはあまり生態が判っていなかったり、詳しく調べられていないものがほとんどということもあり、膨大なフィールド相手にまだまだ宝の山が埋まっている可能性はかなりあります。
あと、キノコの研究と言えば「食べられるか」「美味しいか(笑)」「毒の正体は」というところに必ずひっかかります。著者もけっこういけるクチで、いろいろ食べて確かめるという無鉄砲な部分が垣間見えます。
おちゃめな文章があちこちにあり、例えば第8話 毒キノコあれこれ−破滅の天使の冒頭で以下のような文章があります。
都合がつけば、毎年この残されたフロリダの天国のような場所で、キノコを探したり、枯れ草の茂みをガサゴソとかきわけて歩くノブタに驚いたり、時には私の前立腺が自然植生に少しは役立つ事を期待ししながら散歩します。
要は立ち小便なのですが、こう書かれるとクスッっと微笑んでしまいます。
全編、このような文章がちりばめられており、内容もさることながら翻訳者の苦労と楽しい文章でなかなか盛りだくさんな内容の本なのですが最後までニコニコしながら読み終えてしまいます。
キノコの毒ですが、即効性の症状が出るものがある反面、2週間とか1カ月などの非常に長期にわたってじわじわと身体を蝕み死に至る階段をゆっくり上るものが多いようです。在野のキノコ、収集しても食べない方が賢明でしょう。もっとも食べてみるというのがキノコが可食かどうかを確かめる一番確実な方法です。結果は運次第ですが。
投稿者 なんぎ : 12:02 記事へ | コメント (0)
次へ